米国株の日足でRSI期間9・14・21を比較|過去検証で何が変わるか
米国株100銘柄の日足(銘柄により5〜56年分)をENTRIQで過去検証し、RSIの期間だけを9・14・21に変えた場合の結果の違いを手仕舞いパターン別に整理します。
RSIの期間を変えると何が変わるのか
RSI(Relative Strength Index)は、直近の値動きを使って相場の過熱感を0〜100のスコアで表すオシレーターです。期間の設定は「何営業日分の値動きを使ってスコアを計算するか」を決めます。
期間が短いほど直近の動きに敏感に反応し、30割れ(売られすぎの目安)とされる水準に達しやすくなります。期間が長いほど鈍く、30割れには相応の下落が続かないと到達しません。同じ「RSI30割れで買う」という条件でも、期間の違いはそのまま「どれだけ売られた場面を拾うか」の違いになります。
本記事は、ENTRIQで100銘柄(期間は銘柄により5〜56年)を過去検証した結果です(Dataset v2.0)。RSI期間を9・14・21に設定し、それぞれの結果を手仕舞いパターン別に並べて比較します。
検証条件
- 対象銘柄: S&P500の現在の構成銘柄から、時価総額上位を1セクター15銘柄までで選んだ米国株(100銘柄)
- 期間: 各銘柄で取得できる全期間。最低5年分ある銘柄のみ(銘柄により5〜56年)
- 時間軸: 日足(株式分割調整済み)
- エントリー: RSI(9)・RSI(14)・RSI(21)のそれぞれが30を下抜けた日の翌営業日の始値で買い(Wilder方式。期間以外の条件は同じ)
- 同時保有: 同じ銘柄で保有中に出た次の条件は見送る(同時に1つだけ保有)
手仕舞いパターン(定義)
- パターンA:RSIが50以上に戻った翌営業日の始値で手仕舞い(戻らない場合は60営業日目の終値で手仕舞い)。損切りは置かない
- パターンB:エントリーから10営業日目の終値で手仕舞い。損切りは置かない
- パターンC:−5%で損切り。損切りにかからなければ10営業日目の終値で手仕舞い。寄り付きで窓を開けて下げた場合はその始値で約定するため、1トレードの損失が−5%を超えることがある
生存者バイアスについて
検証対象はS&P500の現在の構成銘柄です。過去に上場廃止になった銘柄や指数から外れた銘柄は含まれていません。そのため、実際の当時の市場よりも成績が良い方向に偏っている可能性があります。数値を読む際はこの点を念頭に置いてください。
全体の結果(期間別・パターン別)
パターンA:RSIが50回復まで保有
| 指標 | RSI(9) | RSI(14) | RSI(21) |
|---|---|---|---|
| サンプル数 | 13,165 | 5,318 | 1,845 |
| プラス決済割合 | 71.2% | 72.2% | 73.0% |
| 平均損益 | +1.42% | +2.21% | +3.54% |
| プロフィットファクター | 1.77 | 1.92 | 2.14 |
| 最大損失 | -77.0% | -93.3% | -87.9% |
| 最大連敗(銘柄内) | 6 | 7 | 6 |
| MAE中央値 | -3.58% | -4.73% | -6.96% |
| 平均保有 | 12.2営業日 | 19.2営業日 | 29.5営業日 |
※過去のサンプル(N=13,165・N=5,318・N=1,845)・将来の成果を示すものではありません。
パターンB:10営業日後に手仕舞い
| 指標 | RSI(9) | RSI(14) | RSI(21) |
|---|---|---|---|
| サンプル数 | 16,135 | 7,029 | 2,400 |
| プラス決済割合 | 55.8% | 56.9% | 57.2% |
| 平均損益 | +0.98% | +1.20% | +1.50% |
| プロフィットファクター | 1.45 | 1.51 | 1.57 |
| 最大損失 | -72.5% | -72.5% | -58.3% |
| 最大連敗(銘柄内) | 10 | 12 | 7 |
| MAE中央値 | -3.37% | -3.57% | -4.15% |
| 平均保有 | 10.0営業日 | 10.0営業日 | 10.0営業日 |
※過去のサンプル(N=16,135・N=7,029・N=2,400)・将来の成果を示すものではありません。
パターンC:−5%損切り+10営業日
| 指標 | RSI(9) | RSI(14) | RSI(21) |
|---|---|---|---|
| サンプル数 | 18,008 | 7,865 | 2,736 |
| プラス決済割合 | 46.5% | 45.9% | 43.1% |
| 平均損益 | +0.48% | +0.54% | +0.50% |
| プロフィットファクター | 1.21 | 1.23 | 1.19 |
| 最大損失 | -67.2% | -37.9% | -32.3% |
| 最大連敗(銘柄内) | 20 | 16 | 15 |
| MAE中央値 | -3.53% | -3.76% | -4.32% |
| 平均保有 | 7.8営業日 | 7.6営業日 | 7.1営業日 |
※過去のサンプル(N=18,008・N=7,865・N=2,736)・将来の成果を示すものではありません。
期間別の比較で見えること
サンプル数と感度
RSI(9)は短期の動きに敏感なため、RSI(14)と比べてどのパターンでもサンプル数が多くなっています。一方、RSI(21)はRSI(14)よりサンプル数が少なくなっています。期間が長くなるほど「30割れ」に到達する機会が絞られ、より深く売られた場面だけが抽出されることになります。
プラス決済割合・平均損益・プロフィットファクター
パターンAとパターンBでは、RSI(21)のプラス決済割合・平均損益・プロフィットファクターがRSI(14)を上回り、RSI(14)はRSI(9)を上回っています。この2つのパターンでは期間が長いほどこれらの指標が高い傾向が観察されました。
パターンC(−5%損切り+10営業日)では向きが変わります。プラス決済割合・平均損益・プロフィットファクターの3指標すべてで、RSI(14)がRSI(21)を上回っています。またRSI(9)とRSI(14)の比較では、プラス決済割合はRSI(9)の方が高く、平均損益とプロフィットファクターはRSI(14)の方が高いという関係になっています。損切りを置いて短期で手仕舞う条件では、期間との関係が単調ではなくなることが観察されます。
MAE中央値(最大逆行)と最大損失
保有中にどこまで含み損が広がるかを示すMAE中央値を見ると、パターンAとパターンBではRSI(21)がRSI(14)よりもMAE中央値が大きく(よりマイナス)なっています。より深く売られた場面を拾う分、保有中の逆行も大きくなりやすいことが数字に表れています。
最大損失については、パターンAとパターンBでRSI(14)の方がRSI(21)より大きく(よりマイナス)なっています。MAE中央値とは向きが逆転しており、「期間が長いほどあらゆるリスク指標が大きい」とは一概に言えません。パターンCでは、RSI(9)の最大損失がRSI(14)より大きく(よりマイナス)、RSI(14)の最大損失がRSI(21)より大きく(よりマイナス)という関係になっています。
最大連敗(銘柄内)
最大連敗は1銘柄の中での最大連敗を示します。パターンAでは、RSI(14)の最大連敗がRSI(9)よりも多く、RSI(21)よりも多くなっています。パターンBでは、RSI(14)の最大連敗がRSI(21)よりも多くなっています。パターンCでは、RSI(9)の最大連敗がRSI(14)よりも多くなっています。パターンによって期間との関係の向きが異なる点は、比較の際に個別に確認することが必要です。
平均保有営業日数
パターンAはRSIが50に戻るまで保有し続ける設計のため、期間が長いRSI(21)ほど平均保有が長くなっています。RSI(21)のパターンAでは平均保有が29.5営業日と、RSI(9)の12.2営業日と比べて顕著に長くなっています。深く売られた場面からの回復には時間がかかりやすいことが観察されます。※過去のサンプル(N=1,845・N=13,165)・将来の成果を示すものではありません。
パターンBとパターンCは手仕舞い日数が固定または損切り優先のため、平均保有は期間によってほとんど変わりません。
トレンド別・ボラティリティ別・決算別で見ると
トレンド別(パターンA)
パターンAでは、プラス決済割合・平均損益・プロフィットファクターはいずれも上昇トレンド>レンジ>下降トレンドの順になっています。下降トレンドでは平均損失(マイナス決済)もMAE中央値も最も大きく(よりマイナス)なっています。トレンドの向きによる傾向の方向性は期間を変えても共通して観察されました。
ボラティリティ別(パターンA)
パターンAでは、高ボラ環境でMAE中央値が最も大きく(よりマイナス)なり、最大損失も最も大きい(よりマイナス)傾向があります。RSI(21)の高ボラ・パターンAではMAE中央値が-10.10%と特に大きくなっています。保有が長くなる分だけ含み損の逆行も広がりやすいことが数字に表れています。※過去のサンプル(N=883)・将来の成果を示すものではありません。
決算前後(パターンA・RSI(14))
パターンAのRSI(14)では、決算から遠い局面の方が決算前後よりもプラス決済割合・平均損益・プロフィットファクターが高く観察されました。また、決算から遠い局面の方が最大損失も大きく(よりマイナス)なっています。一方、MAE中央値(最大逆行)は決算前後の方が大きく(よりマイナス)なっています。決算前後の局面は保有中の逆行は大きくなりやすい一方、最大損失は限定的になりやすいという、異なる側面が同時に観察されます。※過去のサンプル(N=1,750・N=551)・将来の成果を示すものではありません。
期間を変えることで変わること・変わらないこと
今回の検証から整理できる観察点は次のとおりです。
変わること
- エントリーの機会数(期間が短いほど多い)
- 平均保有期間(パターンAでは期間が長いほど長くなる)
- MAE中央値の大きさ(パターンAとBでは期間が長いほど逆行が大きくなりやすい)
- プラス決済割合・平均損益・プロフィットファクターの水準(パターンAとBでは期間が長い方が高い傾向。パターンCでは指標によって向きが異なる)
- 最大連敗の多寡(パターンによって期間との関係の向きが変わる)
変わらないこと(パターンAでの観察)
- トレンドの向きによる傾向の方向性(上昇>レンジ>下降)
- ボラティリティが高い環境ほど逆行幅が大きくなりやすい傾向
検証の限界と注意点
- 生存者バイアス:現在の構成銘柄のみが対象のため、過去の実際の市場より成績が良い方向に偏っている可能性があります
- 取引コスト・スリッページ:含まれていません
- 同一銘柄の同時保有制限:1つに限定しているため、実際の運用環境とは異なる場合があります
- 比較対象は3点のみ:今回の検証は「9・14・21の3点の比較」であり、この範囲外や他の市場・時間軸での結果は別途確認が必要です
- RSI(21)上昇トレンドのサンプル:RSI(21)は期間が長いため30割れに到達しにくく、上昇トレンド下ではサンプルが特に少なくなっています。少ないサンプルの区分の数値は参考程度にとどめてください
どの期間が自分の銘柄や時間軸に合うかは、同じ条件で自分自身が繰り返し確かめることが判断の根拠になります。ENTRIQのチャートリプレイでは、期間を変えながら実際の過去チャートで練習することができます。検証結果は戦略タグで条件ごとに整理して蓄積できます。
まとめ
RSI(9)・RSI(14)・RSI(21)の30割れで買う条件を、手仕舞い3パターンで比較しました。
- 期間が短いほどエントリーの機会は増えます。プラス決済割合・平均損益はパターンAとBでは期間が長い方が高い傾向が観察されました
- パターンCでは指標によって期間との関係の向きが入れ替わり、単純に「期間が長い=良い・悪い」とは整理できません
- トレンドの向きやボラティリティによる傾向の方向性は、期間を変えても共通して観察されました
- MAE中央値はパターンAとBでは期間が長いほど大きく(よりマイナス)なりやすく、RSI(21)のパターンAでは平均保有も長くなります
- 最大損失とMAE中央値は必ずしも同じ向きにならないため、両方を確認することが役立ちます
「どの期間が最適か」ではなく、「どの期間が自分のルールや銘柄と合うか」を過去データで確かめる視点が、裁量の根拠を作る一歩になります。RSI30割れの各パターンの詳細はRSI30割れで買った場合の過去検証もあわせてご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q. RSIの期間はどう決めればよいですか? A. 一般的に9・14・21が参照されますが、正解はありません。本記事の検証は比較の観点を整理することを目的としており、どの期間を選ぶかは自分の対象銘柄・時間軸・手仕舞いルールと照らして確かめる必要があります。
Q. 期間が短いほど条件の数が増えるのは、良いことですか? A. 機会が増えることで検証のサンプルが積み上がりやすくなります。一方、今回の検証ではパターンAとBでプラス決済割合や平均損益は期間が長い方が高くなっています。機会の多さが成績の良さに直結するとは限りません。
Q. RSI(21)の上昇トレンドのサンプルが少ないのはなぜですか? A. RSI(21)は期間が長いため30割れに到達しにくく、全体のサンプルが絞られます。特に上昇トレンドでは株価が支えられやすいため、RSI(21)が30を割り込む機会がさらに少なくなります。サンプルが少ない区分の数字は参考程度にとどめてください。
Q. この検証結果をそのまま使えますか? A. 対象銘柄・期間・時間軸・手仕舞いルールが変われば結果も変わります。数値は考え方を整理するための参考として、自分の条件で検証し直すことが必要です。
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本記事は過去データの検証・整理を目的とした情報提供であり、特定の売買を推奨するものではありません。掲載の数値は過去のサンプルであり、将来の成果を示すものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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